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怒るイワクニ オスプレイ23日搬入 座り込みで抗議

 米政府が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを23日にも岩国市の米海兵隊岩国基地に先行搬入する方針を政府に伝えたことを受け、岩国市の労働団体などでつくる岩国地区平和運動フォーラム(的場敏議長)は19日、市役所そばで座り込みをし、先行搬入を進める日米両政府への怒りをあらわにした。(堀晋也)

集会や行進も計画

 蒸し暑い曇天の下、市職員組合員ら約40人が午後0時15分ごろから約30分間「市民の安全が確保できないオスプレイ搬入反対」と書かれた横断幕(縦0・5メートル、横7メートル)を掲げて座り込んだ。的場議長はあいさつで「政府の一連の対応は全く理解できず、不誠実。粘り強く運動を続けていく」と話した。

 地元の理解を得ないまま強行する搬入は容認できないとする宣言案も採択。終了後に外務、防衛両省や米政府にファクスで送った。

 オスプレイ先行搬入をめぐり市内では、山口・広島両県の住民でつくる「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」が21日に反対集会、「住民投票を力にする会」などが22日に反対集会や抗議の行進などを予定。12機を積んだ輸送船の到着時には、基地周辺の陸上と海上での住民らによる抗議活動も計画され、反発は日増しに強くなっている。

強行なら国と亀裂も 岩国で反発高まる

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが23日にも岩国市の米海兵隊岩国基地へ先行搬入されることが明らかになった19日、地元岩国市では日米両政府への反発がさらに高まった。福田良彦市長をはじめ市議会や住民の大半が反対する中で、搬入が強行されれば、国と地元との関係に深刻な亀裂が入りかねない情勢になってきた。

 福田市長が岩国市役所で森本敏防衛相と会い、安全性が確認されないままの先行搬入に強く反対したのは今月1日。それでも両政府は基本的な方針を変えず、オスプレイ12機を載せた民間輸送船は22日に関門海峡を通過する見込みになった。近づく岩国入りの動きに福田市長は「思いは微動だにしていない」とあらためて反対する考えを表明。「まだ日にちがある。陸揚げ阻止に向け、各方面に働き掛けたい」とした。

 米軍再編に協力姿勢の市議でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」の桑原敏幸会長は「岩国は国防に協力的だったが、今回のやり方は今後に影響を及ぼす」とする。市議会は先行搬入反対の意見書案を可決しており、「国はなぜ体を張って米政府と交渉しないのか」と憤った。

 相次ぐ市民団体の反対集会などでオスプレイの危険性などを訴え続ける基地監視団体リムピース共同代表で岩国市議の田村順玄氏は「安全性の疑念があるオスプレイ配備に日本政府がものを言えず、止められない。安保の根幹に関わる」とし、「住民の命をないがしろにして、何が安全保障だ」と政府を厳しく批判した。

(2012年7月20日朝刊掲載)

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