×

ニュース

原水協が代表団初派遣 米核実験で被害 マーシャル諸島エニウェトク環礁

 日本原水協は10~22日、米国の核実験で被害を受けた中部太平洋マーシャル諸島に、住民支援のための代表団を派遣する。首都マジュロの北西約1100キロにある旧核実験場のエニウェトク環礁を訪れ、実験場の閉鎖後に環礁に戻った島民たちの健康状態や、残留放射能などを調べる。日本原水協の代表団による同環礁の訪問は初めて。(明知隼二)

 マーシャル諸島の旧核実験場は、エニウェトク環礁と、マグロ漁船の第五福竜丸などが被曝(ひばく)した水爆実験が実施されたビキニ環礁がある。エニウェトクは1948~58年に史上初の水爆実験を含む44回の核実験が行われた。島民は南西約200キロの別の環礁へ移住を強いられ、米国による一部の除染作業を経て80年に帰還したが、環礁の北部は今も居住が禁じられている。

 代表団は、日本原水協や茨城、愛媛、徳島の県原水協の役員、医師たち8人。13日間の日程のうち4、5日をエニウェトク訪問に充て、島民から健康状態や核実験、移住経験について聞き取る。核爆発でできたクレーターに汚染土壌や廃棄物などを集めてコンクリートで密封した「ルニットドーム」も訪れ、劣化状況などを確認する。マジュロでは政府関係者や国会議員、核被害を受けた他の環礁の関係者たちと面会する。

 日本原水協の土田弥生事務局次長は「ビキニに比べて知られていない被害の実態を明らかにし、核兵器廃絶に向けた協力関係を深めるきっかけにしたい」としている。

(2017年1月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ