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オスプレイ23日搬入伝達 防衛省 岩国市長ら抗議

 岩国市の福田良彦市長は20日、中国四国防衛局の辰己昌良局長と市役所で会い、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの機体が23日に米海兵隊岩国基地へ先行搬入されると正式に伝えられた。福田市長は「地元の思いが届かず遺憾だ」と不満を表明した。防衛局は山口県庁も訪ねて事務方に説明した。

 辰己局長は「地上でのエンジン調整はあり得る」とした上で「米側からの事故調査結果が政府に提供され、安全性が再確認されるまで飛行はしない」と福田市長に説明した。

 福田市長は「搬入を強行すれば、日米安保体制に影響が及び、国と地方の信頼関係が揺らぎかねないと憂慮する」と強調。到着予定日まで搬入手続き中止を米側に求めるよう要請した。

 山口県庁では総務部の小松一彦理事が防衛局の藤代誠企画部長から説明を受けた。小松理事は二井関成知事名で森本敏防衛相に宛てた抗議文を読み上げ、手渡した。

 二井知事は事務連絡後に取材に応じ「期待が裏切られ、大変憤りを感じている」と強い不快感を示した。さらに、これまでの県や岩国市による反対姿勢を森本防衛相が「重く受け止める」としていた点を捉え、「重く受け止めると言いながらスケジュール通りに動いてしまっている。目の前の住民の安全性を考慮しないような日米安保体制というのはどうなのかという疑念が湧いてきた」と述べた。

 福田市長と二井知事は近く上京し、防衛、外務両省を訪問して抗議する考えも示した。

 防衛局はこの日、広島県と大竹市、山口県周防大島、和木の両町も訪ね、説明した。広島県では、応対した前田恭正国際課長が「安全性が確認されず、住民理解が得られないまま搬入しようとするのは遺憾」と政府の対応を非難。搬入中止に向けた努力を求める森本敏防衛相宛ての抗議文を手渡した。(酒井亨、山田英和、野崎建一郎)

防衛相がオスプレイ搬入強調 岩国市議会議長と面会

 森本敏防衛相は20日、米海兵隊岩国基地(岩国市)への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの搬入中止を求める岩国市議会の正副議長と防衛省で面会し、23日の搬入を認める方針を強調した。正副議長は「遺憾」と反発。防衛政策への市の協力姿勢を改めざるを得ないとの考えも示唆した。

 松本久次議長、貴船斉副議長は森本氏に対し、安全性の不安などを理由に搬入中止を求めた。森本氏は「米側とのやりとりで、手続きを当初の説明通り進める」と拒否。最近の墜落事故の調査結果を受けて安全性を確認するまで飛行しない、との対応に理解を求めた。

 面会後、松本議長は記者団に「市はこれまで国防に協力してきたがオスプレイの政府見解には納得できない。残念で遺憾だ」と強調。その上で「今後、防衛関係の政策で市民を説得していくだけの状況がなくなったということだ」と強く批判した。(岡田浩平)

オスプレイ配備凍結を 民主・リベラルの会

 民主党の憲法改正に慎重な議員でつくる「リベラルの会」は20日午前、国会内で会合を開き、米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備に関し、機体の安全性や関係自治体の理解が得られるまで搬入や配備計画を凍結するよう日米両政府に求める緊急提案をまとめた。

 午後に首相官邸や前原誠司政調会長に申し入れた。提案ではオスプレイの飛行訓練が東北から九州で計画される中、相次ぐ事故の原因究明ができていないと指摘した。

 会合には平岡秀夫元法相や近藤昭一前環境副大臣らが出席。平岡氏は配備が日米安全保障条約に基づく事前協議の対象となっていないことについて「制度的な見直しも含めて検討しなければいけない」と述べた。

(2012年7月21日朝刊掲載)

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