×

ニュース

ドーム保存の願い伝えたい 楮山さん思い冊子作り

 広島で被爆し、原爆ドーム(広島市中区)保存運動につながる日記を残して、1960年に白血病のため16歳で亡くなった楮山(かじやま)ヒロ子さんをしのぶ冊子作りに、中学時代の同級生3人が乗り出した。今夏、情報を募って編集し、まずは知人らへの配布を予定している。(林淳一郎)

 府中中(広島県府中町)で同級生だった吉村勝文さん(69)=同町、中村秀次さん(69)=広島市中区、寺田正弘さん(69)=安佐南区=の3人。6月から原爆資料館(中区)に収められた楮山さんの日記を閲覧するなど、資料集めを進めている。

 楮山さんは1歳の時に平塚町(現中区)の自宅で被爆。日記は、中学を卒業した59年3月から1年間、A5判ノートにつづり、祇園高(当時)2年だった60年4月に急逝した。

 「あの痛々しい産業奨励館(現原爆ドーム)だけが、いつまでも、恐るべき原爆を世に訴えてくれるだろう」(要旨)。59年8月6日の日記がドーム保存のきっかけになった。存廃論議が高まる中、当時の広島折鶴(おりづる)の会が署名・募金を進め、66年に市が保存を決めた。96年には世界遺産に登録された。

 「楮山さんのまいた小さな種が大きなうねりを生んだ。彼女が託そうとした願いに光を当てたい」。吉村さんが自宅整理中、楮山さんの高校の後輩が証言した新聞記事の切り抜きを見つけたのが冊子作りの発端になった。

 3人の記憶に残るのは「活発で文章もうまい」楮山さん。冊子は日記の概要や、友人への聞き取りなどで構成する計画で、広く情報提供を呼び掛けている。吉村さんTel082(282)9233。

(2012年7月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ