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平和の訴え ひしひしと 「夏の会」が原爆朗読劇上演

 被爆体験記の朗読劇を全国各地で展開している東京の女優グループ「夏の会」が14日、広島市佐伯区の広島工業大デネブホールで原爆朗読劇「夏の雲は忘れない ヒロシマ・ナガサキ一九四五年」を上演した。同区の広島なぎさ中の平和学習の一環。2010年に谷本清平和賞を受賞した後、初めて広島県内で開催した。

 夏の会の高田敏江さん、日色ともゑさん、渡辺美佐子さんたち6人が出演。「お父ちゃん、どうして私をおいて死んだの」「僕は原子爆弾、大嫌いだ」…。原爆に肉親を奪われた悲しみや苦しみ、平和への願いをつづった手記を朗読した。

 「あの子の理想が一日も早く実現しますように」。世界が一つになることを願っていた亡き息子について書いた母親の手記も読み上げた。栗原貞子の「生ましめんかな」や峠三吉の「ちいさい子」の詩も交え、当時の写真や絵を舞台に映して惨状を伝えた。

 なぎさ中高の生徒5人も共演。子どもの体験記などを朗読した中3の加藤佳子さん(15)は「原爆で亡くなった人の思いを代弁できた。語り継いでいかなければならないと感じた」と話していた。

 劇は2、3年生や保護者ら約400人が聞き入った。(増田咲子)

(2012年7月23日朝刊掲載)

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