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世界遺産の眺望 未来へ 原爆ドーム・厳島神社 登録20年記念 シンポジウム

官民連携・法規制訴え

 世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)と厳島神社(廿日市市)の「眺望景観」をテーマにしたシンポジウムが28日、広島国際会議場(中区)であった。昨年12月の世界遺産登録20年を記念し、両市が初めて企画。遺産を含む象徴的な風景を官民で連携して守る大切さを確かめた。(水川恭輔)

 市民たち約180人が参加。広島市の担当者が法的拘束力のない要綱によるドーム周辺の建物の高さ規定、廿日市市の担当者が古い町並みの保存状況などをそれぞれ説明した後、建築や都市計画の専門家3人が討議した。

 広島市景観審議会会長の杉本俊多・広島大名誉教授は、原爆慰霊碑を前景に原爆ドームを南北軸で見る眺望を挙げ、「広島の戦後にとって意味合いが深く、世界的に紹介されている。景観の保全へ市民の意識形成が欠かせない」と述べた。

 大沢昭彦・高崎経済大准教授は、同じ眺望について「周辺で開発が進むドーム北側の背景の景観をどう守るかが問題。保全と開発の区域のめりはりを付け、法規制を段階的に進めるのが望ましい」と指摘。広島市の担当者は新年度から高さの法規制を検討する方針を説明した。

 一方、宮島に関して廿日市市景観審議会会長の森保洋之・広島工業大名誉教授は、フェリーから見える景観の大切さに触れ「厳島神社だけでなく、宮島全体に広げて景観づくりを考える必要がある」と提案した。

(2017年1月29日朝刊掲載)

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