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原爆ドーム 「緊急補修 必要なし」

 広島市は24日、世界遺産・原爆ドーム(中区)の傷み具合を点検する健全度調査の結果を発表した。3年前の前回調査より壁面の細かなひび割れは増えたものの、目立った沈下や傾きはなく、「緊急の補修は必要ない」と判断した。

 調査は1992年度から原則3年ごとに実施し、7回目。昨年12月から約3カ月間、基礎地盤の沈下▽壁の傾き▽外壁のひび割れなど外観調査▽防水性―の4項目を点検した。

 れんがなどの壁面で確認されたひび割れ(幅0・1ミリ以上3・0ミリ未満)の総延長は67・1メートル。前回の26・7メートルから2・5倍に延びた。市公園整備課は「年月の経過による劣化が要因で、ドーム本体の強度を損なうほどの影響はない」とし、経過観察を続ける。

 沈下は40カ所、壁の傾きは8カ所で測量した結果、前回から大きな変化はなかった。調査結果は広島県を通じ、文化庁に報告した。

 市は2006年3月に策定した「平和記念施設」の保存・整備方針で、現状の外観を保つために一定の経年劣化は容認し、大規模な改修を極力避ける方針を示している。

 市は健全度調査と並行し、昨年度から震度6弱の地震に耐えられるかどうかを調べる本格的な耐震調査も実施している。本年度中に解析結果をまとめる。(加納亜弥)

(2012年7月25日朝刊掲載)

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