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広島大旧理学部 I字形保存 1号館 有識者懇が方針案

 広島大本部跡地(広島市中区東千田町)の被爆建物、旧理学部1号館の保存・活用策を協議する市の有識者懇談会(14人)の第5回会合が1日、同大東千田未来創生センターであった。E字形の建物のうち、少なくとも正面の棟をI字形に残し、平和教育・研究の拠点や市民の交流施設に使う方針案に合意。市は市民の意見を募った上で3月中に方針を正式決定する。

 ただ、市は新年度に「平和教育・研究」「交流施設」の活用策をそれぞれ話し合う二つの有識者検討会を懇談会の下部組織として設置。ここでの意見を踏まえて、懇談会で具体的な活用策を決めるとしており、必要に応じて保存範囲を広げる余地を残す。

 この日の会合には、大学教授や住民代表たち委員11人が出席。前回までの意見を踏まえ、事務局の市から、I字形での保存を基本とし、活用策や財源次第で保存範囲を背後の棟まで広げる方針案が示され、おおむね同意した。

 活用策については、被爆建物の特性を生かし、平和関連の教育・研究拠点とし、さらに市民も利用できる複合的な交流施設に使う案でまとまった。委員からは「歴史的な建造物として尊重し、生かしてほしい」「地元のにぎわいにつながる機能も重要だ」などの意見が出た。

 会合後、座長の高田隆・広島大副学長は「被爆建物であり、学都広島の象徴でもある1号館にふさわしい具体的な活用策を考えていきたい」と話した。

 1号館の保存・活用策の検討は、市と同大が掲げる「知の拠点」構想の一環。同センターを含む同大本部跡地(11・4ヘクタール)のうち、3分の1のエリアでは学生向け賃貸住宅の建設など民間による再開発が進んでいる。(和多正憲)

(2017年2月2日朝刊掲載)

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