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実施主体 民間に移行 ひろしま平和発信コンサート 広島県、毎年開催へ調整

 広島県は、広島市や広島商工会議所などとともに実行委員会形式で開いてきた「ひろしま平和発信コンサート」について、実施主体を民間団体に移す方針を固めた。収益金などを平和貢献活動をする団体に寄付する取り組みも終了する。(根石大輔)

 コンサートは2013年夏にクインシー・ジョーンズさんたち海外の有名アーティストを招き、「ワールドピースコンサート」として開催。3年ぶりとなった16年夏、ひろしま平和発信コンサートに名称を改め、クラシックなど三つのコンサートをした。次回の時期などは未定だった。

 県は過去2回で「被爆地から平和を発信する趣旨への賛同が民間に広がった」と強調。一方で「3年に1度ではメッセージを継続的に発信できない」とし、毎年開催が望ましいと分析していた。ただ、毎年開催するには、翌年度の予算の編成前に音楽家の出演交渉の調整が必要になることなどから、現行方式での実現は困難と判断。次回に向けた関連費の17年度当初予算案への計上も見送る。

 県は既に、今後の開催を音楽活動支援のノウハウを持つ広島市内の民間団体に打診。市、経済界なども協力し、18年度から年1回開催の方向で調整する。市などが毎年8月に同趣旨のコンサートを開いていることを踏まえ、時期を夏から変えることも検討する。

 また、ひろしま平和発信コンサートは平和貢献活動を持続的に支援できる仕組みづくりも目的とし、過去2回は収益金を民間団体に寄付した。県は「支援の財源として不安定だった」としてこの取り組みを終了し、別の支援方法を検討する方針でいる。

 過去2回は見通しの甘さも県議会などから指摘された。13年は同時開催のイベントや国際会議と合わせて1億7400万円の収益を見込んだが、2割弱の3千万円にとどまった。16年は事業費の一部に充てる予定の国の補助金約2500万円が認められず、広告費や事務費を圧縮した。

ひろしま平和発信コンサート
 広島県の「国際平和拠点ひろしま構想」の一環として、実行委員会が2013年と16年に開催。16年は、ポーランドの管弦楽団など▽広島市安佐南区出身のピアニスト萩原麻未さん▽地元アーティスト―の三つのコンサートで構成した。趣旨に賛同した音楽イベントも関連コンサートと位置付けた。収益金と企業や団体の協賛金計約1千万円を平和活動に取り組む団体に寄付した。

(2017年2月3日朝刊掲載)

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