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反戦と友好託す創作劇 5日に浜田で石見演劇フェス 満蒙開拓題材 シニア劇団が初披露

 演劇で反戦を訴える島根県西部のシニア劇団「石見国(いわみのくに)くにびき18(いちはち)座」が、戦時中に国策で旧満州(中国東北部)に入植した満蒙(まんもう)開拓団の苦難を伝えるオリジナル劇に取り組んでいる。5日、浜田市の石央文化ホールである石見演劇フェスティバルで初めて披露する。

 演目は「この道をつないで」。旧満州に渡った人たちが戦乱で逃げ惑い、息絶えたり、残留孤児になったりする状況を描く。死者の霊が「生きて祖国に帰って、何があったかを語ってください」と訴え。最後に生存者は「戦争があったばかりに深い溝ができ、歩けなくなった道ができた。私たちはその途切れた道をつないでいきたいのです」と声をそろえる。

 劇団は2010年、高齢者大学校の同級生で結成し、今回が6作目。週1、2日の練習では声出しのタイミングや立ち位置など、妥協せずに意見をぶつけ合う。70~88歳のメンバー14人に開拓団の経験はない。澄川雅是代表(72)は「本当の過酷さは分からないかもしれないが、戦争を語れる世代の使命として一生懸命演じたい」と意気込む。

 6月には福岡市である全国シニア演劇大会に出演することが決まった。脚本を担当する金田サダ子さん(70)は「日本と近隣諸国がもっと仲良くなってほしいとの思いを、せりふから感じ取ってほしい」と願っている。

 石見演劇フェスティバルは午前9時開演。一般1300円、高校生以下無料。同ホールTel0855(22)2100。(森田晃司)

ウラジオから特別出演 NPOと交流 国立芸大

 石見演劇フェスティバルには、ロシア・ウラジオストク市の極東国立芸術大演劇学部が特別出演する。

 2015年9月、浜田市金城町出身の劇作家島村抱月の劇団「芸術座」のロシア公演から100年を記念し、県の支援を受けた浜田市のNPO法人「創作てんからっと」がウラジオストクで上演したのがきっかけ。公演を見た同大の関係者らが交流を続ける。

 アレクサンドル・バムピーロフ作の「窓から野原の見える家」を公演。旧ソ連の村での男女の複雑な会話が見どころという。(森田晃司)

(2017年2月3日朝刊掲載)

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