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都市力強化へ投資継続 広島市17年度予算案 「借金」残高 最高見込み

 広島市が6日発表した2017年度当初予算案は、市立小中学校などの教職員給与の支払いを新たに担うことで一般会計が6456億円を超え、政令指定都市になって最大規模になった。保育所の整備を進め、民生費は初めて2千億円を突破。JR広島駅(南区)一帯をはじめ都市力強化への投資も続ける。ただ、借金残高は過去最高を更新する見込みで、財政は厳しさを増す。広島都市圏のけん引役として都市の成長を目指しつつ、人口減や少子高齢化、財政健全化に目配りした市政運営が課題となる。(岡田浩平、渡辺裕明、長久豪佑)

経済・観光

平和大通り 通年で行事

 市中心部の活性化や観光客誘致を狙い、平和大通りで年間を通じたにぎわいづくりを目指す。カフェや朝市、音楽パフォーマンスを想定。通りの緑地帯を活用し、初年度は民間主体のモデル的なイベントを開く。平和記念公園の来園者に通りを歩いてもらい「平和の丘」として再整備する比治山公園(南区)に誘導する狙いもある。

 外国人観光客向けの平和関連施設を巡るルートを設定。各施設周辺の過去から現在への変化を画像で確認でき、英語の解説を見られるスマートフォン用のアプリも開発する。商店街の振興策として飲食店など各店舗のメニューを多言語化する際などに補助金を出す。

 近隣市町でつくる広島広域都市圏への企業誘致も推進。圏域内の農作物の生産者・出荷者と市場の卸売業者との商談会を開き、生産拡大と出荷の促進を図る。

 老朽化した市中央卸売市場中央市場の現地での全面建て替えに向けては基本計画を作成。畜産農家の経営基盤を強化するため、支援を始める。

原爆・平和

国連施設のガイド招く

 原爆に関する常設展示がある米ニューヨーク、スイス・ジュネーブ、オーストリア・ウィーンの各国連本部・事務所から施設ガイド計6人を広島市へ招く。原爆資料館(中区)などで被爆の実態を学ぶ研修をし、発信に一役買ってもらう。

 「核兵器禁止条約」の制定交渉会議の後半(6~7月)に出席する松井一実市長たちの渡米費用を計上。日本との平和条約締結の協議が進むロシア国内の平和首長会議加盟都市へは、広島平和文化センター理事長たちを派遣し、連携を図る。長崎市と共催の原爆展はハンガリーの首都ブダペストなど2市で開く予定。

 足元の平和行政では、被爆建物の保存支援の補助金を3件に出す。うち福屋八丁堀本店(中区)の改修は3千万円。補助金を非木造で最高8千万円に拡充した制度の初適用で、18年度に残る5千万円を補助する見通し。旧日本銀行広島支店(同)は被爆直後の姿への復元に向け改修工事に入るほか、一部の階を博物館として活用する準備に入る。

 平和記念公園(中区)一帯にあった旧中島地区の被爆遺構を発掘して20年の公開を目指すため長崎市と横浜市を視察。原爆資料館は本館の本格的な改修に着手。工事中は高床式の本館下の日陰がなくなるため、5~11月にかけて東館南側にテントを仮設する。

<主な事業>(◎は新規、○は継続、単位万円)

原爆・平和
◎国連ガイドのヒロシマ研修             477
○核兵器禁止条約の交渉会議への出席         210
○ロシアの平和首長会議加盟都市との連携強化     123
○海外での原爆展開催                475
○民間被爆建物の保存への補助          3,513
○旧日本銀行広島支店の保存           6,645
◎同支店での博物館資料の展示          1,171
○旧中島地区の被爆遺構の展示整備検討         19
○原爆資料館の再整備            123,159

経済・観光
◎平和大通りのにぎわいづくり          1,679
◎ピースツーリズム推進               950
◎店舗魅力向上型補助                210
◎広島広域都市圏の企業誘致活動の連携         29
◎広島広域都市圏の農作物商談会開催         200
〇中央市場再整備                  134
◎畜産振興対策                   359

(2017年2月7日朝刊掲載)

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