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「被爆前の街」再び展示 広島市 レストハウスで19年度

 広島市は、原爆資料館(中区)東館に2014年まで展示されていた、被爆前の旧中島地区の街並みを再現したパノラマ模型を再活用することを決めた。同地区に当たる平和記念公園の被爆建物、レストハウス(中区)を改修後、19年度初頭の再オープン時から展示する。繁華街だった公園一帯の在りし日の姿を来訪者に伝えるのに役立てる。

 模型は直径約3・3メートルの円形。航空写真などを基に、原爆投下前日の1945年8月5日の旧中島地区の街並みを200分の1の縮尺で再現。商店や民家がひしめき、寺院が点在していた様子が分かる。94年の東館開館時に製作、見学コースの冒頭に置いていた。リニューアルのため、14年8月末で東館の展示スペースを閉鎖した後に撤去し、市の倉庫で保管している。

 新たな展示場所となるのは、市が改修を計画するレストハウス(鉄筋地上3階、地下1階建て延べ1011平方メートル)。3階に展示室を設け、模型のうち、元安川と本川に挟まれた旧中島地区を切り取って展示する。

 改修ではこのほか、29年に「大正屋呉服店」として建った当時の内装を施し、1階に観光案内所と売店、2階に休憩スペースを設ける。被爆当時の地下室は保存する。

 ただ、市観光政策部によると、14年度の耐震診断で「震度6強~7の地震で倒壊、崩壊する危険性が高い」と判定された。コンクリートの劣化状況などを追加調査したために工程が遅れ、18年度内の予定だった改修完了は最大3カ月程度遅れ、19年度にずれ込む。市は17年度、本格工事に入るため、観光案内所などを公園内の仮施設に移し、レストハウスをいったん閉館する。(長久豪佑)

(2017年2月16日朝刊掲載)

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