×

ニュース

健康不安「司法解決を」 被爆2世提訴 放射線遺伝 争点 広島地裁

 私たちも核の被害者だ―。広島地裁に集団訴訟を起こした被爆2世たち。17日、広島市中区の広島弁護士会館で原告団が記者会見し、健康不安に悩まされてきた心情を吐露した。被爆者援護法に基づく援護を国に強く迫った。(長久豪佑)

 会見では長崎訴訟の原告を含め被爆2世11人と弁護士2人が登壇。原告団長を務める全国被爆二世団体連絡協議会の崎山昇会長(58)=長崎市=は「歴史的な一歩」と力を込め、「健康不安を抱える2世はたくさんいるが被爆72年の今も援護策は実現していない。やむなく司法に解決を求めた」と述べた。

 広島地裁の原告22人のうちの1人、福山市の中学校教諭占部正弘さん(58)は、被爆者の父親が肝臓がんを患って2006年に75歳で亡くなり、自身も健康不安を感じるようになったという。体調を崩せば高額でもなるべく血液検査を受けるようにしていると言い、「2世だから不安になる。援護が必要だ」と訴えた。

 訴訟では、放射線による影響が遺伝するかどうかを科学的にどう判断するかが争点になるとみられる。原告側は「可能性は否定できない」とするが国側は現状、否定的だ。足立修一弁護士は「科学論争が決着するまで援護措置をしないのは間違い。国がどうすべきか考えることが重要であり、裁判所にも理解を求めたい」と話した。

(2017年2月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ