シベリア抑留 数奇な絆 記録映画「海へ 朴さんの手紙」公開 広島
17年2月20日
戦後シベリアに抑留された広島県坂町出身の元日本兵と、韓国在住の戦友の数奇な絆を掘り起こしたドキュメンタリー映画「海へ 朴(パク)さんの手紙」が完成し、広島市西区の横川シネマで公開されている。
長野県出身の久保田桂子監督(35)が取材。監督の祖父もシベリア抑留の体験者で、本作を撮る動機となった。
映画は、第二次世界大戦を日本兵として戦ったソウル在住の朴道興(ドフン)さんが、広島から応召した山根秋夫さんとの思い出をたどる場面から始まる。北方領土の色丹島で同じ部隊に所属し、「親友以上、一心同体の仲だった」と朴さん。敗戦後に抑留されたシベリアでも、助け合って命をつないだ。
朴さんは帰郷後、今度は朝鮮戦争に従軍。その後、山根さんとの再会を熱望して広島へ手紙を送り続けたが、住所があやふやで届くことはなかった。久保田監督はその手紙を代わりに届けようと、山根さんの消息をたどる。
「戦争や抑留の極限下、民族を超えたこんな友情があり得たのかと、心揺さぶられた」と久保田監督。後半は坂町で取材している。
山根さんの長女、高橋幸子さん(60)は「私の知らない父に映画の中で出会えた。自分の命の意味をあらためて考えさせられる」と話した。
久保田監督が祖父の戦争・抑留体験を追った短編「祖父の日記帳と私のビデオノート」と2本立てで、「記憶の中のシベリア」と題し、28日まで午前10時40分から上映。18、19日は上映後に監督あいさつがある。(道面雅量)
(2017年2月18日朝刊掲載)
長野県出身の久保田桂子監督(35)が取材。監督の祖父もシベリア抑留の体験者で、本作を撮る動機となった。
映画は、第二次世界大戦を日本兵として戦ったソウル在住の朴道興(ドフン)さんが、広島から応召した山根秋夫さんとの思い出をたどる場面から始まる。北方領土の色丹島で同じ部隊に所属し、「親友以上、一心同体の仲だった」と朴さん。敗戦後に抑留されたシベリアでも、助け合って命をつないだ。
朴さんは帰郷後、今度は朝鮮戦争に従軍。その後、山根さんとの再会を熱望して広島へ手紙を送り続けたが、住所があやふやで届くことはなかった。久保田監督はその手紙を代わりに届けようと、山根さんの消息をたどる。
「戦争や抑留の極限下、民族を超えたこんな友情があり得たのかと、心揺さぶられた」と久保田監督。後半は坂町で取材している。
山根さんの長女、高橋幸子さん(60)は「私の知らない父に映画の中で出会えた。自分の命の意味をあらためて考えさせられる」と話した。
久保田監督が祖父の戦争・抑留体験を追った短編「祖父の日記帳と私のビデオノート」と2本立てで、「記憶の中のシベリア」と題し、28日まで午前10時40分から上映。18、19日は上映後に監督あいさつがある。(道面雅量)
(2017年2月18日朝刊掲載)