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岩国市最大739億5000万円 17年度予算案 一般会計 建設事業200億円超

 岩国市は17日、2017年度当初予算案を発表した。一般会計は739億5千万円で、16年度当初に比べ1・0%増。ごみ焼却施設建設や市民会館改修などの大規模事業が継続するため、06年の合併以降最大となった。(野田華奈子)

 歳出は、市中心部のハード整備が本格化し、普通建設事業費が27・0%増の203億200万円と初めて200億円を突破した。主な事業は、同市日の出町のごみ焼却施設建設57億9200万円▽17年度末完成予定のJR岩国駅の東西自由通路建設工事など23億7100万円▽同市山手町の市民会館改修工事23億3300万円▽玖珂と周東の新庁舎整備6億3900万円。

 歳入は、米海兵隊岩国基地の負担に伴う国の補助金、交付金の総額が初めて100億円を超え、60・1%増の114億200万円。一方、地方交付税は市のミスで過大に受け取っていた6億8千万円が差し引かれるため、8・3%減の144億6千万円とした。

 市債発行は14・8%増の85億8300万円で、17年度末の市債残高は581億8600万円となる見通し。

 特別会計では、錦帯橋管理特別会計に83・7%増の5億2500万円を計上。錦帯橋資料館新築に向けた土地購入費などに3億2200万円を充てた。12特別会計と合わせた当初予算案の総額は1・2%増の1134億6700万円。

 市は同日、16年度一般会計補正予算案も発表した。玖珂・周東学校給食センター建設事業に6億9800万円を盛り込んだ。全体では3億1500万円の減額補正となる。17年度当初予算案とともに23日開会予定の市議会定例会に提出する。

【解説】整備に基地財源色濃く

 岩国市の一般会計予算案は2015年度から3年連続で最大となった。米海兵隊岩国基地関連の国の補助金や交付金を活用した大規模事業が進み、基地財源がまちづくりに色濃く反映された格好だ。

 進む人口減少に相反し、新設や改修が相次ぐハコモノ。必要性と将来の負担も吟味しなければならない。市の試算では、15年4月時点で1100ある公共施設の現状維持に必要な費用は今後膨らみ、ピークの38年度には約84億円がかかるという。

 早くて7月から予定される米海軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地への艦載機移転で、国との交渉も重要な段階に入る。市民サービスの継続には、再編交付金の延長と増額も課題だ。ただ、国からの新たな予算措置はさらなる基地負担を招きかねない。

 福田良彦市長は17日の会見で「将来にわたって輝き続ける市を創造する予算」と位置付けた。塗り替えられていくまちを企業誘致や移住にどう結び付けるか。柔軟な発想と発信力の先に、市の発展がある。(野田華奈子)

(2017年2月18日朝刊掲載)

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