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広島復興 刻む60枚 53年の空撮 民家で発見 市全域カバー「貴重な資料」

 復興に向かう広島を1953年に空撮したとみられる写真60枚が、広島市中区の民家で見つかった。この時期の広島市全域を収めた航空写真は珍しい。市公文書館(中区)は「市内が復興で目まぐるしく変わる様子が分かる貴重な資料」としている。(田中謙太郎)

 同じ写真とみられる一部は市が83年発行した「広島新史」に掲載され、53年撮影と記録が残る。市公文書館の渡辺琴代・歴史資料係長は平和記念公園(中区)の整備状況から「市公会堂が着工される53年11月までの撮影」とみる。

 写真は市内全景(縦95センチ、横115センチ)1枚、家屋と田畑などが識別できる縮尺3千分の1(縦46センチ、横56センチ)39枚、縮尺5千分の1(同)20枚の計60枚。

 市中心部は家屋などが密集し始め、平和記念公園では原爆慰霊碑(52年8月建立)に加え、原爆資料館や市公会堂の工事が進む一方、現在の公園北側にはバラックが残る。市内を東西に貫く平和大通りは鶴見町(現中区)から観音町(現西区)付近まで開通し、国道2号など幹線道路の整備が進む様子が分かる。

 中区の岡野クリエさん(91)が自宅を整理していたところ、写真が入ったケースを見つけた。岡野さんの夫武雄さん(57年に37歳で死去)は航空会社を経営し、パイロットを務めていた。写真は武雄さんが保管していたとみられる。

(2017年2月21日朝刊掲載)

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