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民進系会派に波紋 30年代原発ゼロ 前倒し検討 島根県議会「賛成」「慎重」割れる意見

 民進党執行部が検討している「2030年代原発ゼロ」の目標前倒しが、県議会(定数37)の民進系会派にも波紋を広げている。原発の再稼働などを巡っては、会派内にさまざまな意見があるが、ほぼ完成している中国電力島根原発3号機(松江市鹿島町)が立地する事情が、状況を複雑にしている。

 同党執行部は、安倍政権との違いを打ち出すため、原発ゼロの目標時期を「30年」に見直す意向だ。県議会第2会派の民主県民クラブは8人。うち白石恵子氏(松江市、3期)らは「脱原発の時期をより明確にすれば、世論は必ずついてくる。しっかり検討を進めてほしい」と歓迎する。

 だが、民進党の最大の支持母体で、電力総連を傘下に持つ連合は今回の見直しに慎重な姿勢だ。県議会で14年、市民団体が制定を求めた再生可能エネルギーの普及で脱原発を進める条例案が否決された際、当時9人だった民主県民クは賛成5人、反対4人と脱原発を支持する自治労系と消極的な民間労組系で賛否が分かれた。

 「目標を見直しても、実現への道筋まで示せるのか」。条例案に反対した民主県民クの岩田浩岳氏(同市、2期)らは疑問を投げかける。「30年時点での原発ゼロを徹底すれば、島根3号機の運転期間が大幅に限定されることになる。そうした状況まで考えているのか」と話す。

 一方、民進党のほかにただ1人、会派に所属する社民党の山本誉氏(江津市、1期)は原発再稼働に反対の立場だ。

 民進党執行部は3月12日の党大会で前倒し方針を打ち出す構えだが、調整には難航が予想される。民主県民クの平谷昭氏(益田市、2期)は「国民、県民にはっきりとした姿勢を示すためにも、しっかり調整してほしい」とため息をついた。(秋吉正哉)

(2017年2月22日朝刊掲載)

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