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岩国の飛行艇 開発振り返る 漫画開始 世界唯一の技術紹介

 岩国市の海上自衛隊岩国航空基地に配備され、離島や洋上での人命救助で活躍する救難飛行艇US2の開発過程が漫画化された。「US―2救難飛行艇開発物語」で、17日に発売されたビッグコミック3月増刊号(小学館)で始まり、開発担当者たちの葛藤や挫折を交えて伝える。(藤田智)

 物語は1990年代初頭、開発から20年以上がたった救難飛行艇US1に代わる新しい航空機を選ぶことから始まる。短距離での離着水や、4500キロ以上の飛行ができるなど、優れた性能を持つUS2が生まれるまでを描く。

 「世界に誇れる国内の技術を漫画で伝えよう」と小学館が2014年から企画した。高さ3メートルの波が立つ洋上に着水できる技術はUS2が世界唯一と知り、製造元の新明和工業(兵庫県宝塚市)、海上自衛隊の協力を受けて実現した。

 小学館から依頼を受けた漫画家・月島冬二さん(52)=東京=が描く。月島さんは当時の開発担当者や現役の職員、隊員たちを取材。15年冬には岩国基地でUS2の訓練を見学するなどして構想を膨らませてきた。

 開発チームの一員で、救難飛行艇を運用する海自隊第71航空隊の元司令、山口光宣さん(69)=岩国市室の木町=は「より安全な機体にしようと苦心した。多くの人を助けている飛行艇に関心を持ってもらえれば、US2に携わるみんなの励みにもなる」と喜んでいる。

 連載は計約20話を予定し、隔月発行のビッグコミック増刊号(380円)で掲載する。

(2017年2月22日朝刊掲載)

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