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社説・コラム

社会減への対応課題 就任4年目 山口・村岡知事に聞く 財政立て直しに本腰

 25日で就任4年目に入る山口県の村岡嗣政知事(44)が、中国新聞のインタビューに応じた。国内外でのトップセールスの成果に手応えを語る一方、中四国地方9県では7年連続で最多の社会減への対応が課題とした。任期の最終年度の2017年度は「本腰を入れて財政健全化をしなければいけない」と強調。米海兵隊岩国基地(岩国市)で7月以降に計画される空母艦載機移転には「地元市町の意見を聞きながら対応する」とした。(村田拓也)

  ―3年間の県政運営をどう振り返りますか。
 外国人観光客や企業の誘致、県産品の売り込みなどで、トップセールスの重要性を実感している。特に海外企業は経営トップの役割が大きく、やった分だけ成果が上がる。トップ同士の関係づくりが、山口宇部空港(宇部市)では初の国際定期路線となるソウル線の就航などにつながった。県にお金がない中で、少ない費用で高い効果が出せる。

  ―課題は何でしょう。
 転出者が転入者を上回る社会減だ。進学と就職で県を離れる若者が多く、もっと工夫が必要だ。魅力のある企業は多いのに、山口大(山口市)の学生の3人に1人は「県内企業を1社も知らない」というアンケート結果もある。17年度当初予算案に、長期体験型インターンシップ(就業体験)の促進などを盛り込んだ。

  ―当初予算案では、財政健全化も打ち出しました。
 16年度当初予算で財源調整用基金の残高が100億円を割り込み、財政破綻が具体的に見えてきた。収支のバランスが取れた財政構造へ、抜本的に変えないといけない。財政を立て直し、未来への責任を果たすのも重要な役割だ。

  ―空母艦載機移転計画への考えは。
 国が1月に示した騒音予測図では、周防大島町など一部地域でW値(うるささ指数)が70以上の区域が広がった。地元市町の意見をしっかり聞き、対応する。国に疑問点を文書で照会しており、回答を待ちたい。

 「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設の見通しが立たないうちに、空母艦載機の移転のみを切り離して進めることは認められない」という基本スタンスもある。見通しが立ったかどうかは、沖縄県に聞くのではなく、政府の対応や考え方を確認して考える。

  ―中国電力が計画する上関原発建設では、昨年8月に海を埋め立てる免許の延長を許可しました。
 私が原発についてどう考えるかではなく、あくまで公有水面埋立法に照らして許可した。一方で中電には「原発本体の着工時期の見通しがつくまでは埋め立て工事をしない」よう文書で要請した。国の原発政策で新増設について具体的な動きはない。「工事をすぐに始める状況ではない」との判断も示したつもりだ。

(2017年2月25日朝刊掲載)

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