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広島の原爆資料館 増す混雑 入館者最多更新 本館改修でテント仮設へ

 オバマ米大統領(当時)の広島訪問を追い風に24日、年間の最多入館者数を四半世紀ぶりに更新した原爆資料館(広島市中区)。被爆の実態を一層広める好機の半面、混雑も増した。3月下旬には全面改装のため本館を閉じる。来年7月の再開館まで入館者の受け入れに工夫が求められる。

 1991年度を上回る159万3281人目となったのは、東京都中野区から友人と旅行で訪れた看護師高橋佑理さん(29)。記念品を受け取り「初めて広島に来た。歴史を伝える場所なので多くの人が訪れるのはいいこと」と話した。

 オバマ氏の折り鶴展示はこの日も人気。オーストラリア出身の大学教授ピーター・ウェアリングさん(43)は3人の子どもを連れ「世界中で被爆の実態を学ぶ教育をすべきだ」と語った。

 入館者数に占める外国人の割合は91年度が4・6%だったのに対し、2016年度は20・8%。海外の関心は高い。オバマ氏の訪問が日本人にも改めて目を向けさせる契機になった。

 資料館のボランティアガイド斉藤敏江さん(63)=東区=は「オバマさんが来た直後は身動きが取れない日があった」と振り返る。100メートルを超えて入館待ちの列がのびた時も。資料館は改装のため14年9月から東館の展示を閉鎖しており、混雑に拍車が掛かった。

 本館の一時閉館に合わせ東館は3月下旬に再オープン。本館の一部の被爆資料も展示する方針だ。5~11月は入館待ちの間の日よけにテントを仮設する。

 来館者が感想を書く対話ノートは70年度から数えて1435冊目。今も1週間に2~3冊分が埋まる時がある。志賀賢治館長は「混雑の中でも資料に向き合っていただいている証拠。環境を整え、45年8月6日に広島で何が起きたのか感じて帰ってほしい」と話す。(長久豪佑、橋原芽生)

(2017年2月25日朝刊掲載)

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