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「黒い雨」拡大は困難 厚労相 広島市長要望に返答

 広島原爆の「黒い雨」の援護対象となる国の指定地域の見直しで、小宮山洋子厚生労働相は30日、省内で、現行の約6倍への拡大を求めた広島市の松井一実市長に対し「今のままでは難しい」との認識を伝えた。松井市長は、対象となる住民らの高齢化などを踏まえ、政治判断での拡大を迫った。

 面会の冒頭で、松井市長が厚労相に要望書を提出。市が2008年度の住民調査から導いた要望地域について、原爆放射線による健康影響を否定できないなどとして、援護を受けられる「第1種健康診断特例区域」に早急に指定するよう求めた。

 出席者によると非公開のやりとりで、厚労相は、市の調査を検証した同省の有識者検討会が拡大に否定的な判断をした点や、財政負担を挙げて困難な状況を表明。検討会の提案に沿い、住民らの不安を取り除くため、「相談やケアを考えている」と説明した。

 これに対し松井市長は指定地域の拡大へ政治判断をさらに要求。厚労相は「事務的に対応を詰めたい」と述べたが、具体内容は答えなかったという。

 松井市長は面会後、「拡大に厳しい認識があるが、それを超えて政治判断をと申し上げ、一定の理解を示してもらった」と述べた。面会には、広島県安芸太田町の小坂真治町長ら1市5町の幹部、県の担当課長、県選出の民主党衆院議員も同席した。(岡田浩平)

(2012年7月31日朝刊掲載)

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