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厳しさ増す上関原発計画 埋め立て免許延長が焦点

 中国電力の上関原発(山口県上関町)の建設計画に凍結の立場を取る山本繁太郎氏が当選した山口県知事選。撤回を掲げた飯田哲也氏が一定の票を得たこともあり、中電の計画推進はより困難になる可能性がある。(東海右佐衛門直柄)

 上関原発の建設計画では、予定地の海面埋め立てに必要な免許が10月に期限を迎える。中電が山口県に免許の延長を申請するのか、また新知事が工事の継続を認めるのかが、大きな焦点となる。

 中電は、29日に投開票された知事選の結果について「コメントする立場にない」としている。地域住民に原発への理解を求め、計画を引き続き推進するとしている。

 新知事となる山本氏は、「国のエネルギー政策に協力」「上関町の政策選択を尊重」と公約集に明記。上関原発計画については「凍結」としており、将来の工事再開の可能性を残す一方で、推進を打ち出していない。

 中電関係者は「今夏にも政府がまとめる、将来の原発比率などのエネルギー政策が、新知事の判断に大きく影響を及ぼす」とみる。原発の新規立地をめぐる国の政策の行方を注意深く見守る。

 知事選では、上関原発の白紙撤回を掲げた飯田氏の得票が約18万5千に上り、山本氏の約25万2千の次点となった。脱原発と自然エネルギーの活用を求める世論の高まりが示された形。これまで以上に丁寧に県民の理解を得ないと、中電が計画を推進することは難しい。

 昨年の福島第1原発事故の後、上関原発の準備工事は中断し、原子力安全・保安院の1次審査もストップしている。

≪上関原発のスケジュール≫
2009年10月 ●【海域の造成工事】
     12月 ●原子炉設置許可の申請
           ↓
         ●経済産業省の審査
           ↓
  11年 3月 ●【海域の造成工事】福島第1原発事故の後、中断 現時点
           ↓
  12年10月 ●海域の埋め立て免許の期限
           ↓
         ●原子炉設置許可
           ↓
         ●建設着工(未定)
           ↓
         ●運転開始(未定)

上関原発
 中国電力が山口県上関町に建設を計画する、改良沸騰水型の軽水炉。1、2号機の出力はともに137万3千キロワット。建設費は約9千億円。2011年度の電力供給計画では1号機は12年6月の本体着工、18年3月の運転開始を目指していた。12年度計画では着工、運転開始とも未定に修正した。

(2012年7月31日朝刊掲載)

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