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草の根の活動たたえる ヒロシマ平和創造基金 3団体1個人表彰

 国際交流や平和活動に取り組む個人と団体に贈る、公益財団法人ヒロシマ平和創造基金の「国際交流奨励賞」の表彰式が2日、広島市中区の中国新聞ビルであった。広島県内の3団体と1個人に、表彰状と奨励金が贈られた。

 理事長の岡谷義則中国新聞社社長が表彰状と奨励金を手渡し、「地球上には宗教、民族間対立、テロや貧困など平和を脅かす問題がある。市民レベルの行動こそ事態を好転させる力となる」とあいさつした。

 NPO法人「虹橋の会」(西区)は15年間、草の根の活動で中国と友好を築いてきた。中国残留孤児で理事長の岩井梅子さん(71)は「ちぎり絵を通じ、活動が広がった。これまで以上に頑張る」と力を込めた。

 広島、長崎の原爆に関する文献のデータベースを作り、ウェブサイトで公開する「リンガヒロシマ」(呉市)は70言語、約2500冊の海外の文献を集め、ボランティアも国内外で計36人に増えた。代表の元広島国際大教授、中村朋子さん(70)は「作業が大変だが、授賞を機により多くの人に広めていく」と強調した。

 広島市の被爆体験伝承者5人でつくる「被爆体験を継承する会」(南区)は核をテーマとする海外ドキュメンタリーの上映会を開いている。代表の船津晶子さん(59)と共同代表の甲斐晶子さん(61)が出席し、船津さんは「中高生たち若い人にも見てもらえる。より多くの人に情報を届けたい」と意気込んだ。

 海外5カ国で被爆の惨状を伝えてきた平野由美恵さん(70)=中区=は表彰式を欠席し、友人が代理出席した。平野さんは取材に対して「体力的にいつまで続けられるか分からないが、次世代につながることを願っている」と話している。

 賞は広島国際文化財団が1998年に創設。2012年度に基金が引き継ぎ、最多の12団体と5人の応募があった。(桑島美帆)

(2017年3月3日朝刊掲載)

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