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「広島の顔」写真集に 原爆ドーム・厳島神社 世界遺産登録20年機に企画

県内の有志21人 復興の基町や宮島花火

 広島県内のプロ・アマチュア写真家の有志21人の実行委員会が原爆ドーム(広島市中区)と厳島神社(廿日市市宮島町)の写真集を発行した。昨年の世界文化遺産登録20年を機に企画し「過去・現在・未来」がテーマ。公募で寄せられた作品を含め120人の感性あふれる134点を収める。(橋原芽生)

 ドームを背景に、被爆者の女性を4世代の家族で囲んだモノクロの1枚は記憶の継承の大切さを問い掛ける。宮島水中花火大会の作品は、大輪の花火が散って海面に落ちるまで約5秒間露光で撮影。真っ赤に染まる宮島の夜空を「厳島合戦」の激しい戦場に重ねる。

 実行委の一人、被爆者の鍵本勇三さん(84)=海田町=は、ドームと、1960年代に撮影したというドーム近くの基町地区のバラック住宅群の様子を6枚の組み写真で載せた。金くずを集めるリヤカーや、トタンで補強した家々など復興途上の営みを捉える。

 松本工業学校(現瀬戸内高)1年の時、比治山橋東詰(現南区)で被爆した。「いつかはなくなってしまう風景じゃけ、撮らんといけんと思った」。仕事の傍らで約半世紀、アマチュア写真家として町を記録してきた。

 実行委の工藤一義会長(75)=坂町=は「撮影者がどんな気持ちで捉えた1枚か想像して見てほしい」と話す。

 A4判、140ページ。3千部作り図書館に寄付するほか、希望者に3千円で販売する。7~12日の県立美術館(中区)を手始めに広島、廿日市両市の3会場で展示会を開く。入場無料。実行委Tel082(874)6363。

(2017年3月3日朝刊掲載)

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