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惨状や戦後の苦しみ記す「ピカに灼かれて」再開第11集

 広島医療生活協同組合(広島市安佐南区)は、被爆体験集「ピカに灼(や)かれてPartⅡ」の第11集を刊行した。看護師や保育士たち勤務2年目の職員30人が、市内の被爆者9人の証言を聞き書きしてまとめた。

 1人の被爆者を職員3、4人で担当。あの日の惨状や戦後の心身の苦しみを記す。当時16歳の女性は、相生橋(現中区)近くの電停で被爆した妹を、父親とリヤカーで医師のもとに運んだところで亡くなったと回顧。「父親は取り乱しておかしくなって『すみこ(妹)はアメリカ人に殺された』と何度も大声で叫んでいた」と語った。

 「ピカに灼かれて」は1977年に同生協原爆被害者の会が創刊。定期発行していたが、メンバーの高齢化により被爆60年の2005年、第28集で打ち切った。しかし、命に携わる職場の一員として被爆の実態を学んでほしいと、翌06年から同生協が若手職員の活動として引き継いだ。77年から今回までに延べ562人の体験記をまとめた。

 11集に参加した歯科技工士の生田奈津美さん(24)=佐伯区=は「私たちが今聞ける被爆者の語りを、子どもたちにも伝えられれば」と話している。A3判、42ページで300円。同生協Tel082(879)8124。(橋原芽生)

(2017年3月6日朝刊掲載)

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