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広島東照宮の忠魂碑発見 西南戦争で犠牲 広島の兵士悼む 再建へ活動開始

 西南戦争(1877年)で犠牲になった広島の兵士を悼もうと、戦争翌年に広島東照宮(広島市東区)に建立され、原爆と戦後の混乱で行方不明になっていたとされる忠魂碑が、個人が所有していた西区の庭園で見つかった。市民たちが6日、石碑を東照宮に再建しようと動きだした。(久保友美恵)

 石碑は高さ2・8メートル、幅1・3メートル。「明治維新三傑」の一人の西郷隆盛が、政府に不平を抱く士族を集めて九州で起こした反乱の概要や、鎮圧した政府軍の一員として広島の兵士数百人が犠牲になった歴史が刻まれている。

 行方不明とされていた碑を発見したのは、佐伯区湯来町の石材業藤井弘さん(68)。2015年、西区にある庭園の庭石の処分を頼まれた際に「歴史的な意味があるらしいが保管に困っている」と相談され、引き取った。

 その後、知人で郷土史家の田辺良平さん(82)=東区=たちが史料や県史を調べたところ、東照宮の敷地に建てられ、戦後に行方不明だった碑だと判明した。

 この日は、田辺さんや地元の町内会長たち19人でつくる復元委員会の初会合が東照宮であった。10月の移築を目指し、石碑の運搬や台座の設営などにかかる費用約300万円を寄付で賄う方針を決めた。田辺さんは「明治時代初期と広島の関わりを伝える貴重な遺産。多くの人に知ってほしい」と話す。田辺さんTel082(289)1082。

(2017年3月7日朝刊掲載)

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