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被爆者「体験語ることから」 都内で「夏の祈り」試写会

 高齢の被爆者が入居する「恵の丘長崎原爆ホーム」の日常を描いたドキュメンタリー映画「夏の祈り」の試写会と記念シンポジウムが31日、東京都内であった。坂口香津美監督と首都圏在住の被爆者たち6人が、体験や思いを語った。

 シンポジウムの題は「3・11後の日本人に伝えたい事」。坂口監督は、撮影終了直後に東日本大震災があったことを語り「福島の人々に被爆者の経験をどう届ければいいだろうか」と問いかけた。

 広島で被爆した大下克典さん(69)=千葉県野田市=は「大丈夫だと軽々しく言ってはいけない。被曝(ひばく)管理をしっかりすることが大事だ」と指摘。同じく永山巌さん(68)=千葉市花見川区=は「原発は即なくすべきだとの考えに変わった。原爆と原発は同じ。自分の病気の体験も含め、語ることから始めたい」と述べた。

 映画は、入所者が演じる被爆劇の様子などを通し、今も癒えない心の傷と平和への祈りを記録している。8月から長崎や東京でスタートし、順次全国で上映する。(武河隆司)

(2012年8月1日朝刊掲載)

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