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拠点「未定」の避難者減少 東日本大震災 広島県内 定住進む

 東日本大震災や福島第1原発事故を機に広島県へ避難した人でつくる「ひろしま避難者の会アスチカ」は9日、会員世帯を対象にしたアンケートをまとめた。今後の生活拠点を「決めていない」と答えた世帯は30・0%と、前年に比べ14・4ポイント減り、調査を始めた2014年以降初めて減少した。一方、避難先へ定住するとの回答は過去最高の45・0%。震災から6年を経て支援が縮小される中、自らの拠点を定めつつある姿が浮かぶ。(奥田美奈子)

 会員112世帯のうち、53・6%の60世帯が答えた。今後の生活拠点について、「今住んでいる自治体に定住」が前年比14・8ポイント増でトップに浮上。前年は最多だった「決めていない」は14・4ポイント減った。「古里に戻る」は3・3%、「別の自治体に移る」は1・7%、「その他・無回答」は20・0%だった。

 現在地への定住を選んだ理由は、「家を建てた」「子どもが生活に慣れた」「仕事の都合」などが挙がった。避難先で新たな生活基盤を築いたとうかがえる。決めていない理由は「子どもの進学先が決まらない」「仕事も自宅もあるが、古里への愛着がある」などが寄せられた。

 つらいと思うこと(複数回答)は、「震災や原発事故のことが世間から忘れられている」が最多の35・0%だった。「親・親戚・友人に会えない」(31・7%)「原発再稼働」(28・3%)などが続いた。

 福島県は今月末、原発事故の避難区域外からの「自主避難者」への住宅の無償提供を打ち切る。回答したうち9世帯が対象で、8世帯は広島県に定住、1世帯は福島県へ戻るとした。

 三浦綾代表(44)は「支援が切れた後に、新たな問題に直面する会員も出てくるだろう。一人一人の課題に丁寧に向き合い、サポートを続けたい」としている。

(2017年3月10日朝刊掲載)

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