×

ニュース

原爆で消えた町 発掘調査で実感 広島市文化財団が報告

 広島市中区の原爆資料館耐震化工事に伴い、2015年11月から本館下一帯で進められた発掘調査は年度末で区切りが付く。その作業を担った市文化財団文化財課の田村規充主任学芸員(47)が、2次にわたる調査で分かったことを中区での「ひろしま考古学講座V」(県教育事業団など主催)で報告した。

 原爆投下当時の「被爆面」の本格的な発掘は初めて。原爆で消えた旧材木町の遺構を田村さんが一つ一つ解説した。牛乳配達店があったと考えられる地点では変形するなどした多くの牛乳瓶が見つかり、銭湯とみられるれんがの燃焼施設や浴室の基礎も出土した。

 掘り進めると地下に眠る被爆前の町並みが次々と現れ、古くは広島に城下町が築かれた16世紀にさかのぼった。350年にわたり、使われた道「材木町筋」の位置を確認できたのも大きいという。田村さんは「平和都市広島を考える上で近世、近代からの流れを押さえることに意義がある。ここに人の生活があった実感につながる」と語った。(岩崎誠)

(2017年3月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ