×

ニュース

将来の原発比率 5県知事見解

 将来の原発比率について政府が今夏の最終決定を目指して議論を進める中、中国地方5県の知事にスタンスを聞いた。政府が示す三つの選択肢のいずれを支持するかは全員、明言は避けたが、山口、岡山、鳥取は原発を減らすべきだと主張。広島は原発維持を含めて冷静な議論が必要だとの考えを示した。原発立地県の島根はコメントを控えている。

 政府は2010年に約26%だった原発比率を、30年に「0%」「15%」「20~25%」とする選択肢を提示している。5県知事には定例記者会見などで、どの選択肢を支持するかを尋ねた。全員が「政府が国民の意見を集約している最中」などとして、支持する選択肢を明確にしなかった。

 一方で、原発比率の方向性については、鳥取県の平井伸治知事が「原発の安全神話は崩れた。減らす方向がいい」と明言。36道府県でつくる自然エネルギー協議会の会長を務める岡山県の石井正弘知事は「再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高めてほしい」と強調し、太陽光発電などへの転換を促した。

 山口県の二井関成知事も「減らす方向」と表明。中国電力が上関町に計画する原発建設については「国がどう位置付けるか注視する」と語った。7月の知事選で当選し、22日に就任する山本繁太郎氏は「現時点で、国が決めるエネルギー政策にコメントする考えはない」と答えた。

 「原発を現状より減らすかどうかは、冷静な議論が必要」と主張したのは広島県の湯崎英彦知事。政府が7月末に広島市中区で開いた意見聴取会で「0%」の支持が多かった点を「現状では当然」と受け止めつつ、「二酸化炭素排出の問題や電気料金の話もある」と指摘。経済への影響も踏まえ、原発維持も選択肢の一つであるとの見解を示した。

 島根原発が松江市にある島根県の溝口善兵衛知事は「国が決めること」として具体的な回答を避けた。

<将来の原発比率をめぐる中国地方5県知事の意見>

●広島県
 原発を増やす従来の計画は国民に受け入れられない。現状より減らすかどうかは、冷静な議論が必要

●山口県
 大きな方向性としては減らす方向と思う。国が中国電力の上関原発建設計画をどう位置付けるのか注視していきたい

●岡山県
 再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高めてもらいたい。その上で原発の比率を減らす方向にもっていかなければならない

●島根県
 エネルギー政策は国が決めること。コメントする立場にない

●鳥取県
 原発の安全神話は崩れた。中長期的にはエネルギーシフトを進め、原発の比率を減らす方向がいい

政府が示す将来の原発比率の選択肢
 福島第1原発事故を踏まえたエネルギー政策を打ち出すため、政府が6月に議論の材料として提示。2030年の総発電量に占める原発の割合について①強制停止で原発をなくす0%②寿命に沿って順次廃炉にする15%③新設や置き換えが前提の20~25%―の三つを挙げる。政府は全国11都市での意見聴取会を4日に終える。今夏の最終決定を目指すが、秋以降への延期を求める声も政府内にある。

(2012年8月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ