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伊方原発差し止め却下 新基準「不合理ない」 広島地裁

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、広島市と松山市の住民4人が申し立てた仮処分で、広島地裁は30日、申し立てを却下する決定をした。東京電力福島第1原発事故後に策定された原発の新規制基準について「不合理とはいえない」と判断した。住民側は近く、広島高裁に即時抗告する。

 地裁の吉岡茂之裁判長は決定理由で、新規制基準について最新の科学的知見を踏まえていると指摘。四電が策定した基準地震動(耐震設計の基準とする地震の揺れの大きさ)についても、「詳細な地質調査をした上、信頼性のある手法や知見を用いた。何ら不合理な点はない」と判断し、住民が放射線被曝(ひばく)により重大な被害を受ける具体的危険はないと結論づけた。

 また、司法判断の方法として、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の運転差し止めを認めなかった昨年4月の福岡高裁宮崎支部の抗告審決定を挙げ、「唯一の確定した高裁決定として参照するのが相当だ」とした。

 住民側の弁護団は「裁判官の独立を放棄した」と批判。四電は「安全性は確保されているとの主張が認められ妥当な決定だ」とのコメントを発表した。

 昨年8月に再稼働した伊方3号機を巡り、住民側は昨年3月、広島地裁に仮処分を申請。山口地裁岩国支部、松山地裁、大分地裁でも差し止めを求める同様の仮処分の申し立てがあり、決定は広島地裁が初めて。住民側は、南海トラフに加え、原発の近くに長大な中央構造線断層帯が通り、四電が基準地震動を過小評価しているなどと訴えていた。(有岡英俊)

(2017年3月31日朝刊掲載)

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