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【解説】伊方3号機差し止め却下 宮崎を踏襲 独立性疑問

 伊方原発3号機の運転差し止めを認めなかった広島地裁の決定は、司法判断の在り方について、昨年4月の福岡高裁宮崎支部の決定を重視した。国内では未曽有の被害をもたらした福島第1原発事故の教訓を踏まえた司法判断としては、独立性を欠くとの批判は免れないだろう。

 決定は福島の事故後、同種の仮処分申請で、司法判断の枠組みが裁判所ごとにまちまちになることを問題視。最高裁の判例がない中、これまでに唯一確定した同支部の決定を参照した。会見した弁護団は「右に倣えだ」と批判。他の裁判所に影響する懸念も示した。

 広島地裁は一方で、四電による地震想定の合理性には慎重な検討を要する問題もあると指摘。地震学者の学説、規制委の審査状況などを慎重に調べることも不可欠だが、そのような作業は仮処分になじまず、通常の裁判で行われるべきだとした。

 さらなる慎重な司法判断が必要と自ら認めているとも言え、四電や国はこの決定におごらず、安全対策に真摯(しんし)に向き合うことが求められる。(有岡英俊)

(2017年3月31日朝刊掲載)

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