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原爆資料館の発掘終了 広島市 遺構調査1年5ヵ月

 広島市は31日、平和記念公園(中区)の原爆資料館本館下の一帯で進めていた発掘調査を終えた。1年5カ月の作業で、被爆時の地層からは、原爆で壊滅した旧中島地区の街並みの遺構や、生活用品が出土した。今後、市文化財団に委託して詳しい分析を進め、資料価値が高いと判断した出土品は資料館に引き継ぎ、公開を検討する。

 本館は耐震化のために地中の基礎部分に免震装置を取り付ける工事を予定。その前に遺構を記録するため、市が2015年11月から約2200平方メートルを対象に発掘を進めていた。16年3月までの予定だったが、江戸期の地層まで調べるなどして1年延長。この日、作業員が機具を撤収した。

 一帯には被爆前、民家や商店が立ち並んでいた。市平和推進課によると、戦前の食器やガラス瓶、硬貨などが見つかり、出土品はことし2月時点で専用コンテナ(縦63センチ、横44センチ、高さ10センチ)約700箱分に上る。同財団が出土層や場所ごとに整理して報告書にまとめるという。

 また市は、1年前に切り取った、焼け焦げた木製しゃもじなどがまとまって残る被爆時の地表の一部(縦90センチ、横60センチ)について、保存するために表面を樹脂で覆う作業をほぼ終えた。企画展などで展示するという。

 今後、囲んでいるフェンスの範囲を広げ、5月以降に免震工事に着手。完了後は埋め戻す。さらに公園内の別の場所の被爆遺構を発掘し、保存・公開する計画でいる。(長久豪佑)

(2017年4月1日朝刊掲載)

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