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被爆瓦 再び世界へ 14ヵ国の大学・博物館に発送

 広島大の卒業生で、被爆瓦を海外の教育機関に送る活動をしている嘉陽礼文さん(34)=広島市西区=が、2回目の大規模発送に取り組んでいる。送り先は14カ国の33大学・博物館。被爆国が原発を持つに至った理由を学ぶため近く福島県に一時移住することもあり、作業を急いでいる。(新谷枝里子)

 「恒久平和の精神を世界中の若者と共有したい」と昨年2~5月、約250個を10カ国の22大学に提供した。今回も事前に手紙で思いを伝え、平和教育に使いたいなどと返事があった26大学と7博物館に約230個を送る。瓦は広島市の許可を得た上で10年ほどかけて原爆ドーム近くの元安川などで拾った。

 東広島市鏡山の広島大キャンパスでの箱詰め作業をする嘉陽さんは「原爆や戦争を正当化する国があっても、教育機関が平和を願うなら未来は明るい」と期待している。

 嘉陽さんは沖縄県出身。沖縄戦を生き延びた祖母に平和の尊さを聞いて育ち、広島大と同大大学院で憲法を学んだ。東京電力福島第1原発事故の背景や影響を知りたいとことし4月、福島大科目等履修生になった。10日に福島県に移る。放射線の除染作業にも参加するという。

(2012年8月4日朝刊掲載)

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