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被爆者団体 再構築の時 広島県東部 解散・合流の流れ 「つながる場」確保急務

 被爆者が高齢化する中、広島県東部で被爆者団体の解散が相次いでいる。昨年、2団体が解散し、福山市神辺町の被爆者団体は、福山市の団体との合流を検討する。存続に向け、被爆2世たちもメンバーに加えた活動の再構築が求められている。(高本友子)

 「会員はどんどん亡くなった。どうにもならない」。市神辺町原爆被害者の会の藤井清士会長(87)がつぶやく。同会は会員が高齢化し、約2年間総会を開けていない。3月30日、県被団協(坪井直理事長)の担当者たちと協議し、被爆2世たちでつくる「市原爆被害者友の会」との合流に向けて動きだした。

 県被団協によると、県東部では昨年、府中市と尾道市因島の被爆者団体が解散した。いずれも高齢化で活動の継続が困難になった。現在、東部には9団体あるが「役員が見つからない」「集金ができない」などの悩みが寄せられるという。

 一方で、被爆者同士のつながりを求める声もある。福山市西桜町の田中千江子さん(86)は「周りに被爆者はいない。原爆の話ができる人がいると、少しは楽になるんだけれど」と漏らす。

 活動の存続に向け、被爆2世がメンバーに加わる団体もある。神石高原町原爆被害者協議会には、2015年に油木・豊松支部の2世5人が加入した。その後に加入した2世は1人にとどまる。山本剛久会長(73)は「2世にどう活躍してもらうか悩む」と話す。

 福山市原爆被害者友の会は、市原爆被害者の会(会員数約500人)の解散後、2世を会長に据えて15年4月に発足した。友の会の会員は現在約50人。うち半数は2世で、多くの被爆者会員は解散時に辞めた。

 市によると、2月末時点での市内の被爆者手帳保有者は1156人。藤井悟会長(70)は被爆者の孤立を懸念する。

 友の会は被爆者の不安を解消するため、出前で被爆者の医療や介護サービスの利用の相談に応じ、総会を郊外で開くなどしてきた。再び会に入る被爆者も出てきた。藤井会長は「各地で被爆者がつながる場づくりをするのが2世や若い会員の役割。被爆者以外の会員ももっと巻き込みたい」と話している。

(2017年4月2日朝刊掲載)

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