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被爆遺構保存へ市民団体 40人で設立会合 早速園内を見学

 広島市中区の平和記念公園の地下に残る被爆遺構の保存を求める市民団体が2日、発足した。「あの日」を伝える遺構の発掘や保存・公開する意義を学習会などを通じて広く発信し、市の保存に向けた取り組みを後押しする狙い。早速、専門家の案内で園内を見学した。(渡辺裕明)

 団体は「広島平和記念公園被爆遺構の保存を促進する会」。原爆資料館(中区)であった設立会合には約40人が参加した。発起人の一人で被爆2世の多賀俊介さん(67)=西区=は「行政の動きが鈍くならないよう、市民の気持ちを盛り上げる必要がある」と設立の理由を説明した。

 続いて被爆者で元原爆資料館長の原田浩さん(77)=安佐南区=が講師として登壇。「あの日あの瞬間の市民の姿を映す遺構は重要」と保存の意義を力説した。

 公園内の被爆遺構を巡っては、資料館本館の耐震化工事に伴う2015、16年度の発掘調査で、原爆で壊滅した旧中島地区の街並みの跡や生活用品が出土した。市は資料価値の高い出土品や遺構の一部を資料館に保存し、工事後は埋め戻す。また公園内の別の場所の遺構を発掘し、被爆75年となる20年の公開を目指す方針だ。

 設立会合の後、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館周辺を巡る見学会もあった。同館の建設時に発掘調査に関わった元広島大教授の石丸紀興さん(76)が案内し、被爆前の街並みについて解説した。

(2017年4月3日朝刊掲載)

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