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カンボジアの平和 願い届け 現地で出前授業 広経大生が奮闘

 カンボジアの小学校低学年向けに日本の戦後復興などを伝える教材を、広島経済大の学生が作った。1970年代の内戦の影響で教育環境に恵まれない子どもが多い同国。「復興と平和を願う心を育ててほしい」と活用を呼び掛け、約2700冊を小学校や図書館に贈る。

 教材はクメール語のカラー92ページ。産業や衛生など6項目で構成し、主に教師と子どもの会話形式で紹介した。経済の項目では、戦後の食糧難の中、貴重だった米の代わりに麺類を食べるなどした食生活を紹介。船や機械を輸出して遂げた経済成長も説明した。

 広島への原爆投下の項目では、焼け野原となった市街地と、復興を遂げた現在の写真を対比。「未来に希望を持ったから今がある」と呼び掛け、成長や復興の担い手になってほしいと願いを込めた。

 全5学科の約50人が2013年から取り組む国際交流プロジェクトの一環。毎年2回、現地に渡り、教員や児童の要望を聞き取り、イラストと写真は計約500点を掲載した。

 3月上旬、同大の9人が首都プノンペンなどの小学校10カ所で出前授業をした。経営学科2年梅下直弥さん(20)は「絵本のように楽しみ、学ぶ喜びを知ってほしい」と話す。

 3千冊を印刷。約330冊を大学に保管し、残りをカンボジアに寄贈する。(木原由維)

(2017年4月6日朝刊掲載)

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