×

ニュース

刻む8・6 継ぐ平和 「教師と子」の慰霊祭に800人

 原爆の日を前に、被爆体験を受け継ぎ、平和を考える行事が4日、広島市内で相次いで開かれた。

「教師と子」の慰霊祭に800人

中区の碑前

 広島市中区の平和大通り沿いの緑地帯にある「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」前では、原爆で亡くなった子どもや教職員の慰霊祭があった。市内の小中学校の児童、生徒や遺族たち約800人が、平和への祈りをささげた。

 全員で黙とう後、子どもを代表して己斐上中3年の茶木ほのかさん(15)が「私たちができるのは、目の前の命を大切にすること。思いやりが大きな絆となるよう、努力し続けます」と誓った。参加者は碑の周りに折り鶴と花束を飾った。

 慰霊祭は碑の維持委員会が1970年から毎年開いている。

復興への意志 車窓から実感

被爆電車で体験聞く会

 被爆した路面電車に乗って被爆体験を聞く会には、小中学生や保護者たち約100人が参加した。教職員たちでつくる広島平和教育研究所が主催し、広島電鉄(中区)が協力した。

 参加者は2班に分かれ、原爆ドーム前電停(同)を出発。当時、市内を走行中に被爆した路面電車「651号」には、証言者として下原隆資さん(82)=江田島市=が乗った。

 市内を約1時間かけて巡る間、下原さんは広島二中(現観音高)の校舎内で被爆した体験を語り「御幸橋より中心部は焼け野原だった」と車窓を見ながら説明。「多くの市民があきらめなかったから復興できた」と力を込めた。

 安佐南中2年佐々木桃子さん(13)は「いつか自分も命の大切さを伝えられるようになりたい」と話した。(長久豪佑)

日韓の学生が資料館を見学

 日韓の大学生の交流を促す日韓未来構築フォーラムが4日、広島市で始まり、日本と韓国の大学生と大学院生計26人が、中区の原爆資料館を見学した。7日まで、平和を学びながら交流を深める。

 早稲田大など日本の18人と韓国・高麗大の8人が参加した。資料館の職員から展示物の説明を受けた後、放射線の影響を解説するパネルなどを見て回った。初めて訪れた高麗大4年の具芸書(グイエソ)さん(25)は「被爆後の街や被爆者の写真を見て、あらためて核兵器の怖さを感じた」と話していた。

 フォーラムは早稲田大アジア研究機構などの主催。5日以降は、在韓被爆者問題や原爆と原発などをテーマに意見交換し、平和記念式典にも出席する。(石井雄一)

(2012年8月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ