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被爆体験伝承「より深く」 委嘱式 12人加わり計88人に 広島市中区

 被爆者の記憶と平和への思いを語り継ぐ広島市の「被爆体験伝承者」の委嘱式が7日、中区の原爆資料館であった。本年度は、最短で3年間の研修を経て新たに伝承者となった12人を加えた計88人が活動する。

 広島平和文化センター(中区)の小溝泰義理事長が、12人と昨年度途中から加わった2人の計14人に委嘱書を手渡した。小溝理事長は「核兵器禁止条約」の制定交渉会議を「被爆者が長年、実体験を話してきたからこそ実現した」と評価。代弁者として、ヒロシマの思いを多くの人に届けるよう呼び掛けた。

 委嘱は1日から1年間。12人は、18日からある講話などで順次デビューする。資料館のピースボランティア岡本忠さん(73)=安佐南区=は、西区の梶本淑子さん(86)の記憶を引き継ぐ。「私も1歳5カ月で被爆したが、覚えていない。より深く伝えられるように頑張りたい」と意気込んだ。

 伝承者は2015年4月からセンター主催の講話会などで語っており、昨年度は観光客や修学旅行生たち約3万人の前で話をした。この日は、自身の被爆体験を語る「被爆体験証言者」47人への委嘱もあった。(新谷枝里子)

(2017年4月8日朝刊掲載)

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