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すずの街に触れて 片渕監督 「この世界の片隅に」呉でトークショー 

取材や制作 裏話を披露

 呉、広島両市を舞台に、戦時下を生き抜く女性を描いたアニメ映画「この世界の片隅に」の片渕須直監督(56)によるトークショーが8日、呉市宝町の大和ミュージアムであった。県内外から約280人が訪れ、制作の裏話に聞き入った。(浜村満大)

 片渕監督は、完成までの6年間、戦前から戦後にかけて市中心部で撮影された百貨店や電車、橋の写真を探し集めるなど、呉市に何度も取材に訪れた。収集した資料を示しながら「呉の地で何があったのかをつぶさに調べる原作の手法に習い、当時の街並みをできるだけ忠実に再現した」と振り返った。

 映画では主人公すずが広島市からの嫁ぎ先の呉市で空襲に遭う。片渕監督は「戦前の呉は夜になるとネオンがともる、僕らが知っているのと同じような普通の街だった。すずが生きた街に触れてほしい」と呼び掛けた。

 大阪府池田市から駆け付けた会社員川島健司さん(47)は「当時の呉の様子を細かく調べた上で作品に落とし込む監督の熱意に感動した」と話していた。

 トークショー後、映画に登場する呉市内の名所を巡るスタンプラリーもあった。参加者は旧澤原家住宅や小春橋などを写真を撮りながら見学し、特製の缶バッジを受け取った。

(2017年4月9日朝刊掲載)

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