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思い出のビー玉 戻った 家族が100個寄贈

 米国の教会が1947年、広島原爆の爆心地に近い本川小(広島市中区)に支援物資として贈ったビー玉約100個を保管していた当時の教諭賀屋進さん(2010年に85歳で死去)の家族が4日、ビー玉を同小と当時の児童に寄贈した。賀屋さんが「子どもがのみ込むと危ない」と65年間、瓶に入れて自宅に置いていた。

 赤、青、黄などの模様が入ったビー玉は、文房具などとともに同小に届いた。家族によると、進さんは児童に少し遊ばせた後、自宅に保管した。

 寄贈を仲介したのは米国在住の舞台芸術家重藤マナーレ静美さん(62)。支援物資のお礼に、描いた絵などを送った児童と教会との交流を描くドキュメンタリー映画の撮影中に賀屋さんに会い、ビー玉の存在を知った。当時の在校生が「珍しい模様に憧れた」と思い出しては話すのを聞き、寄贈を持ち掛けた。

 この日、進さんの長女貴美子さん(38)と次女公美子さん(37)=いずれも佐伯区=が同小を訪れ、当時2年生だった石田俊海さん(71)=中区=に青色の1個を手渡した。石田さんは「当時は宝石のように思えた。記憶がよみがえる」と喜んだ。

 残りの瓶入りのビー玉は河野一則校長(56)に贈った。同小の平和資料館で展示される。貴美子さんは「子ども思いの父も喜んでいるはず」と話していた。(長久豪佑)

(2012年8月5日朝刊掲載)

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