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セミパラチンスク支援10年 展望探る広島の市民団体

■記者 門脇正樹

 旧ソ連の核実験場があったカザフスタン・セミパラチンスクへの医療支援を続ける広島市の市民団体「ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト」が22日、中区で結成から10年を振り返る会合を開いた。約30人が参加し、8月の訪問報告や最初の核実験から60年を迎える来年の展望を話し合った。

 この夏の訪問では甲状腺炎などを発症した40-77歳の男女118人を検診。報告に立ったメンバーの医師や検査技師らは血液や染色体の検査結果などを基に、医療技術や人材育成の継続支援の必要性を強調した。

 さらに、同団体を母体とする若者グループ「CANVaS」メンバーで高校非常勤講師の浜本信太郎さん(25)=安佐南区=が現地の高校生や大学生たちと討論した内容などを報告。日本大使館や国際協力機構(JICA)などと連携して来年8月、現地でユース国際会議や原爆展を開く構想を発表した。

 これまでに医療関係者ら延べ約100人を派遣。6000万円相当の支援物資を寄贈したほか留学生の受け入れにも力を入れている。来年は1-5月の毎月1回、西区の草津公民館でカザフスタンの歴史や文化を学ぶ講座を開く。佐々木桂一世話人代表は「現地との交流をいっそう深め、核兵器をなくす世論を世界に広めたい」と意気込んでいる。

(2008年11月23日朝刊掲載)

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