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20年ぶり 知事訪問へ 原発予定地対岸の山口・祝島

 山口県の村岡嗣政知事が、中国電力上関原発(同県上関町)建設計画への反対派が大半を占める同町祝島を17日に初めて訪問することが13日、分かった。現職では1997年7月の二井関成知事以来20年ぶり。県が補助する離島航路の新造船就航の式典後、お披露目のため乗船して立ち寄る。

 関係者によると、村岡知事の祝島滞在は約30分。下船して餅を配る。反対派住民たちは「今回はあくまで祝いの場」として、上関原発の是非を巡る抗議行動などは控える方針。住民との対談の実現は微妙だ。

 本土側で乗船し、同町長島の原発建設予定地そばを通る航路で訪れる予定。祝島の発着場からは、東約4キロの予定地を目視できる。

 村岡知事は昨年8月、予定地への対応を大きく変えた。「原発本体の着工時期の見通しがつくまで埋め立て工事をしない」よう要請した上で、周辺の海を埋め立てる免許の延長を許可した。政府が「原発の新増設について現時点で想定していない」(安倍晋三首相)とする中での判断は、祝島を中心に反発を招き、火種としてくすぶる。住民からは村岡知事の訪問を求める声が上がっていた。

 県によると、県は14の離島航路で運営を補助する。新造船就航の式典に知事が出席するのは、萩市での98年が最後。以後6回は「都合がつかない」などを理由に代理出席だったという。

 二井元知事の97年の訪問は行政視察が目的。知事として初めて反対派住民と意見交換した。(佐藤正明、井上龍太郎)

(2017年4月14日朝刊掲載)

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