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被爆者の声 私たちが継ぐ 大学生や社会人 広島市南区で聞き取り

7月下旬 東京のイベントで紹介

 首都圏の若者に原爆の実相を伝えるプロジェクトに参加している広島大の学生や県内外の社会人が15日、広島市南区の旧陸軍被服支廠(ししょう)で被爆者から証言を聞き取った。7月下旬から東京で始まる「ヒロシマの継承」をテーマにしたイベントでまとめた内容を紹介する。(有岡英俊)

 大学生4人や、東京や大阪などの会社員たち計12人が参加。爆心地から約2・7キロの被服支廠で学徒動員中に被爆し、現在は市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」代表を務める中西巌さん(87)=呉市=を取材した。

 参加者は、原爆投下時の様子や被服支廠の中でやけどを負った被爆者の救護をした体験を聞き、熱心にメモを取った。れんが造りの建物の周囲も巡り、原爆の爆風でゆがんだ窓の鉄扉などを写真や動画に収めた。

 広島大大学院文学研究科の留学生閻慧(えんけい)さん(27)=東広島市=は「原爆や戦争は全てを奪う。北朝鮮の核問題などアジア情勢が不安定な今だからこそ、被爆者や戦争体験者の思いを広く伝えたい」と受け止めていた。

 継承イベントは、西区出身のウェブクリエーター久保田涼子さん(34)=東京都=たちが企画。被爆70年の2015年から毎年、首都圏で開いている。3回目のことしは7月30日~8月8日、東京都世田谷区の世田谷ものづくり学校で開催。中西さんたち被爆者の証言を冊子やパネルで紹介する。

(2017年4月16日朝刊掲載)

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