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被爆アオギリ 平和の芽を トルーマン元米大統領の孫 種託され「植える」

 原爆投下当時の米国大統領トルーマンの孫で、広島市に滞在中のクリフトン・トルーマン・ダニエルさん(55)=米シカゴ市=が5日、1964年に米国などを巡り原爆の惨禍を訴えた被爆者らと、アステールプラザ(中区)で相次いで会った。被爆アオギリの種を受け取り、ミズーリ州のトルーマン図書館に植えると約束した。(門脇正樹)

 ともに広島で被爆した東区の岡田恵美子さん(75)と佐伯区の森下弘さん(81)。森下さんは広島、長崎の被爆者や学者たち40人が米国、旧ソ連など8カ国を訪ねた平和巡礼に参加した。

 「過去にとらわれず、未来に向けて協力し合いましょう」。岡田さんは巡礼の意義を説明し、被爆体験を語った後、平和記念公園(中区)の被爆アオギリの種を手渡した。目頭に手を当てて聞き入ったダニエルさんは「米国の退役軍人と被爆者が語らえる日が訪れるのを願い、トルーマン図書館の敷地に植えます」と約束した。

 ワールド・フレンドシップ・センター(西区)元理事長の森下さんは平和巡礼で米国滞在中、トルーマンが当時住んでいたミズーリ州で本人と会っている。

 森下さんは「トルーマンは、原爆投下は人命の損失を最小限に抑えるためだったと言って、謝罪しなかった。対面できたことに満足した者もいたが、私は、済まなかったと言ってほしかった」とダニエルさんに伝えた。ダニエルさんは黙って聞いていたという。

(2012年8月6日朝刊掲載)

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