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萩・見島の基地機能強化 レーダー更新/国特定地域に指定

 朝鮮半島情勢を巡る緊張が高まる中で、山口県萩市沖の日本海に浮かぶ見島の軍事的な機能が強化されている。新たに弾道ミサイルに対応する能力のあるレーダー施設が、同島の航空自衛隊分屯基地で建設中だ。今月、領海などを守る拠点機能を保つため、国の特定地域に指定された。古くは防人(さきもり)が滞在したとされる離島が、「国防」の波を受けている。(折口慎一郎)

 見島(7・7平方キロ)は萩市の北西約44キロ、朝鮮半島から最短距離で約180キロに位置する。2016年4月時点で458世帯829人が暮らす。萩港から1日2、3往復する定期船で片道1時間余りかかる。7~10世紀の防人たちの墓とされる国指定史跡見島ジーコンボ古墳群があり、古代の防衛拠点だったという。

 今月1日には、中国地方では隠岐諸島とともに特定有人国境離島地域に国が指定。支援策として島民の船賃補助(半額程度)が導入され、地元の農水産品の輸送費補助も拡充された。

 航空自衛隊の西部航空警戒管制団第17警戒隊が配置されている見島分屯基地では、弾道ミサイルを探知するレーダー施設への更新が進む。中国四国防衛局のホームページなどによると、鉄筋4階建てと同平屋の局舎が本年度中の完成を予定。航空機の探知能力も高まるという。鉄筋地上3階地下1階の隊庁舎も耐震化で建て替えている。

 北朝鮮は16日に弾道ミサイル発射を試みた。一方、米国は米原子力空母を朝鮮半島付近に向かわせるなど、半島周辺の緊張が高まっている。分屯基地の位置付けについて、同隊は「北朝鮮情勢にかかわらず、警戒監視業務を24時間365日、常続不断の態勢で実施する」と説明している。

(2017年4月24日朝刊掲載)

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