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危機管理急ぐ自治体 北朝鮮弾道ミサイル 中国地方も警戒 避難訓練や当直増員

 北朝鮮情勢を受け、自治体が緊張感を強めている。国は、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合の日本領域への落下を見据えた住民の避難訓練を要請。中国地方の5県や、米軍や自衛隊の基地を抱える自治体は、ミサイル落下時に住民が取るべき行動などの情報をホームページ(HP)や防災メールで発信し、警戒を呼び掛けている。広島、山口両県は、避難訓練の実施に向け検討に入った。

 24日午後、山口県庁の一室。県内19市町全ての危機管理担当者たち約50人が集まった。「25日は北朝鮮の記念日で、(ミサイル発射の)予断を許さない状況だ。緊張感を持って対応してほしい」。村田友宏・県危機管理監は強調し、ミサイル落下を想定した住民の避難訓練を早急に行う方針を伝えた。

 政府は21日、ミサイル落下の可能性がある場合の対処法を公表。屋外にいる際は「できるだけ頑丈な建物や地下街に避難する」などと呼び掛け、具体的な場面を想定した住民の避難訓練の実施を都道府県に求めた。

 広島県は同日、ミサイル落下時の住民の対応をHPに掲載。市町、住民への情報伝達訓練や住民の避難訓練をする方向で検討を始めた。広島市もHPでミサイル落下時の行動などの情報を発信。岡山県は、25日に開く各市町村の防災担当者向けの会議で、連絡体制の徹底などを呼び掛ける。

 北朝鮮と日本海を挟んで向かい合う島根県は「原発もあり、普段から市町村は意識している」とした上で、訓練については国と今後調整する方針。鳥取県は14日から危機管理局の夜間の防災当直を2人から4人に増員した。

 米海兵隊岩国基地を抱える岩国市。福田良彦市長は24日、報道陣の取材に応じ、ミサイル落下を想定した訓練をする考えを表明した。7月以降、空母艦載機61機が移転してくる計画があり、完了すれば極東最大級の基地となる。福田市長は「緊張度が増している。必要以上に市民の不安をあおるべきではないが、あらゆる情報を国や米軍などから収集したい」と述べた。

 海上自衛隊呉基地がある呉市も同日、「ミサイル落下時の行動」を市HPに掲載。極東最大の貯蔵量とされる在日米軍川上弾薬庫がある東広島市も同日、弾道ミサイル落下時の行動に関する防災メールを一斉配信した。

 江田島市には海上自衛隊第1術科学校や米軍秋月弾薬庫などがある。明岳周作市長は「危険性を判断できる情報をできる限り教えてほしい」と国に求める。

(2017年4月25日朝刊掲載)

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