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メキシコの全競技誘致 東京五輪事前合宿 広島県、来月協定

 2020年東京五輪・パラリンピックの事前合宿を巡り、広島県側とメキシコオリンピック委員会(MOC)が5月25日に基本合意協定を締結する見通しであることが24日、分かった。メキシコが出場を見込む26競技の選手団約300人を受け入れる方向で調整している。県によると、一つの国の全ての参加競技を誘致するのは珍しく、注目されそうだ。県は県内全域で合宿や交流事業を展開し、五輪ムードを高めたい考え。

 関係者によると、広島市内のホテルで締結式を開き、県と広島市、県商工会議所連合会、県体育協会の4者のトップとMOC会長が協定書に署名する。メキシコの駐日大使や日本オリンピック委員会(JOC)、外務省の幹部のほか、県内市町の首長も出席を予定しているという。

 県によると、人気が高いサッカー、野球をはじめとする26競技の約300人の受け入れに向けて調整中。現時点で広島、福山、三次市など13市町が合宿地として名乗りを上げている。

 県は今後、MOCと市町の意向を踏まえ、合宿地や交流事業の割り振りやメニューを検討。7月にも国の財政支援が受けられる「ホストタウン」の登録完了を目指す。(胡子洋)

交流含め22市町名乗り 東京五輪 広島県でメキシコ事前合宿へ

 2020年東京五輪・パラリンピックの事前合宿の誘致を巡り、広島県は自動車関連など経済的な関係が深いメキシコにターゲットを絞って交渉や調整を進めてきた。現時点で県内23市町のうち22市町が合宿や交流事業の受け入れに名乗りを上げている。県は、5月25日にメキシコ側と基本合意協定を結んだ後、全県を挙げた受け入れ態勢づくりを急ぐ方針でいる。(胡子洋)

 県は、サッカー、野球を含む26競技の受け入れを目指す。県によると、広島、呉、三原、尾道、福山、三次、庄原、東広島、廿日市の9市と府中、坂、安芸太田、北広島の4町の計13市町が合宿地として受け入れる意向を表明。残る10市町のうち、大崎上島町を除く9市町も交流事業で参画したい考えという。

 県は広島、福山、三次の3市を拠点とし、広域的に受け入れ事業を展開する計画。今後、メキシコオリンピック委員会(MOC)と市町の双方の意向を踏まえて個別計画をまとめ、5月下旬までに国の「ホストタウン」登録を申請する。

 県によると、早ければ18年にも五輪予選などの強化合宿などで選手団が広島を訪れる見通し。五輪の合宿は20年7~8月を想定している。

 事前合宿はスポーツ振興や文化・交流の広がりが期待され、国内で誘致活動が過熱している。

 県は、マツダ(広島県府中町)がメキシコ中部のグアナファト州に新工場を建設した縁で、13年11月に同州と経済交流に関する覚書を交わし、14年11月には友好提携を締結している。

 経済的なつながりが深い上、核軍縮や不拡散に積極的に取り組み、被爆地への関心が高いメキシコを合宿誘致の対象国とし、16年春から交渉を開始。同年11月に県や企業関係者たちがメキシコを訪れ、具体的な調整を進めていた。

 メキシコ側も今年1月にMOC幹部が広島を訪問し、広島市中区の原爆ドームや原爆資料館、県内の競技施設や宿泊施設を視察。被爆地で合宿する意義を強調した上で、広島の豊かな自然と戦後復興した都市機能を評価していた。

 メキシコはサッカーやボクシングが国民的スポーツで、16年のリオデジャネイロ五輪には27競技125人の選手団を派遣。銀メダル3個と銅メダル2個を獲得した。

(2017年4月25日朝刊掲載)

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