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被爆67年 「黒い雨」拡大せず 首相 不安軽減策は検討

 野田佳彦首相は6日、広島原爆の投下直後に降った「黒い雨」被害の援護対象となる指定地域拡大は「(厚生労働省の)専門家による検討会で、原爆由来の放射線被曝(ひばく)があったとは考えられないと報告された」と述べ、政府として拡大しない方針をあらためて示した。

 広島市中区であった「被爆者代表から要望を聞く会」で述べた。首相はその上で、指定地域外で黒い雨を浴びた住民たちへの不安軽減策を小宮山洋子厚労相に検討させる意向を示した。同席した厚労相は「相談だけでなく、不安を持つ人の心身のケアをどうするか検討したい」と話した。

 一方、公明党の山口那津男代表は同日、中区で記者会見し「最終的な政治判断の余地は排除されない」と指摘。地域拡大を前向きに検討するべきだとの考えを強調した。

 国費による健康診断が受けられる指定地域の拡大は広島市などが2010年から要望。市などの調査結果を基に約6倍に広げるよう求めたが、厚労省の検討会は7月、地域拡大には「科学的、合理的根拠がない」とする報告書をまとめた。

 こうした状況の中、松井一実市長は首相や厚労相の政治判断による拡大を要請していた。(野崎建一郎、荒木紀貴)

(2012年8月7日朝刊掲載)

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