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旧満州同級生 本紙きっかけに 74年ぶり再会 三次の中本さん・岩国の奥名さん

手を握り合い「懐かしい」

 旧満州(中国東北部)の国民学校に通っていた同級生の女性2人が27日、庄原市内の宿泊施設で1943年以来74年ぶりに再会した。本紙くらし面の「私の一枚」に当時の写真と文章が掲載されたことをきっかけに連絡が取れ、旧交を温め合うことになった。(佐々木裕介)

 三次市三若町の中本弘子さん(82)と岩国市平田の奥名達子さん(82)。中本さんがロビーで待っているところに奥名さんが到着し「懐かしい。おばあちゃんになって」と声を掛けた。2人は見つめ合い手を握り合った。

 中本さんは、1939年に広島市江波町(現中区)から転居し、41年に新京(現吉林省長春)の春光国民学校に入学。奥名さんは40年ごろ、旧比婆郡西城町(現庄原市西城町)から新京へ引っ越した。2、3年生の2年間(42、43年)、同じ国民学校に通った。

 ともに広島県出身。家が近所だったこともあり、家族ぐるみで付き合った。4年生に進む時、お互い別の学校に転校することになり、43年3月以降、交流は途絶えていた。

 中本さんは旧満州時代の思い出を本紙くらし面の「私の一枚」に投稿し、2016年9月16日付に掲載された。この記事を読み、住所が三次市と確認した奥名さんは、同市に住むめいに「友達かもしれない。電話番号を調べたい」と連絡した。めいの住所が中本さんと同じ三若町で、近所に住んでいることも分かり、連絡を取ることができた。

 戦後、中本さんは保育士、奥名さんは夫と飲料の卸業を営みながら、ともに2人の子どもを育ててきた。2人は「これからも連絡を取り合おう」と約束。ゆっくり空白の時間を埋めていくことを決めた。

(2017年4月28日朝刊掲載)

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